Interview
外国から来た人のための合同説明会を入口に、あなたの事業を一緒に形にします
スクーデリア株式会社
人と企業が出会う場所をつくる、次の新規事業に。
入口は、外国から来た人のための合同説明会
郡山市朝日にあるスクーデリア株式会社は人材派遣の会社で、代表取締役社長は加納佑哲さんです。外国から日本へ働きに来た人たちを、企業の現場へ送り出しています。

ー学生に頼みたいことは、もう決まっていますか。
加納「これをやってほしいという具体的なアイデアは、正直まだ持っていません。挙げるとすれば三つです。一つ目は、社内で開発しているWebサービスを一緒に世に出して、使う人を増やしてもらうこと。二つ目は、外国から来た人に特化した合同説明会を、企画から運営まで担ってもらうこと。
三つ目が、社内ベンチャーとして法人をひとつ作ることです。将来社長をやりたいという学生さんには、あなたの事業を一緒に形にしましょう、とお伝えしたいですね」
三つとも、取材の場で出てきた案です。入口になるのは、二つ目の合同説明会の企画です。

二つ目の合同説明会は、今年やろうと社内で話している企画です。就職活動をしている学生の目線を入れて作りたい、というのが希望です。
三つ目の社内ベンチャーは、あなたが持ってきた構想を会社の形にする、という話で、合同説明会の先にある選択肢です。
ー領域に縛りはありますか。
加納「縛りはないですね。人材の領域であれば、というところです」
ネパールの人たちに選ばれる人材派遣

スクーデリアは2022年11月に始まった会社で、郡山と仙台と盛岡に事務所があります。社員は若い世代が中心です。
事業は、外国人材に特化した人材派遣です。「サキガケ」というサービス名で、同じ国から来た人をチーム単位で現場に送り、管理者と通訳が付いて送り迎えもします。派遣先は食品工場や製造業、物流倉庫が中心です。
人材派遣は、すでに会社の数が多い業界です。そのなかで加納さんは、いちばん小さい場所を選びました。
ー外国人材に絞った理由は、どこにありますか。
加納「一番ちっちゃい領域で圧勝する。それがまず大事だと考えています。人材の業界そのものは競合が多いのですが、外国人材はまだ市場が小さい。そこからさらにネパールまで絞ると、日本でここに特化しているのはうちくらいだと思っています。
大手はこの小さい市場を取りに来ません。だからまずここで圧倒的に勝って、それから横に展開していく。ベトナムもやらないか、という誘いは来ます。受ければ目先の売上は増えますが、いまのフェーズでやると中長期で良くない。そういう経営判断です」
掲げているビジョンは「ミクロ圧倒的No.1」で、この領域で「サキガケ」は着実に実績を重ねてきました。
ネパールから来た人たちがスクーデリアを選ぶ理由は、仕事の紹介の外側にあります。社員が、彼らのために無償でやっていることがあります。
携帯電話の契約に付き添う。銀行口座の開き方が分からないと言われれば、一緒に窓口へ行く。大家から届いた日本語の手紙が読めなければ、間に入って訳す。

仕事を紹介するところまでが、この会社の商売です。そこから先の困りごとを、加納さんたちは料金を取らずに引き受けてきました。
ここまでサポートしてくれる人材会社がある、という評判が、ネパール人のコミュニティに広がりました。スクーデリアという社名は、仙台と郡山に住むネパールの人たちの間でよく知られています。
派遣という形をとっている理由も、同じところにあります。
加納「たとえば来月の土曜に学校の行事があるから休みたい、と本人が思ったとします。派遣会社が間に入って事情を説明すれば、ちゃんと休みが取れる。彼らにとって、そこが大きな価値になっています」
企業の現場へ人を送り出す仕事ですが、加納さんの説明は働く人の事情から始まっていました。その順番を加納さんが自分で言葉にしたのは、取材のときが初めてだったそうです。
「社長になる」という大学時代の宣言

加納さんは1989年、郡山市小原田の生まれです。大学進学で東京へ出て、進んだのは東京理科大学の理学部でした。在学中に東日本大震災があり、東京にいた加納さんは地元への思いを強くしました。
就職を考える時期に自分がどうなりたいのかを掘り下げ、行き着いた答えが起業家でした。3年で社長になると決め、そこから逆算していちばん成長できる場所を探します。
大学院に進む人が多い学科で、大手の会社を勧める声もありましたが、加納さんは起業家の道を選びました。
ー迷わずに言い切れたのは、なぜですか。
加納「決めたことはやりきるタイプだった、というのが一つ。もう一つは、宣言するタイプだったことです。社長になると、大学の友達に大々的に言っていました。
いまも同じで、高い目標は隠さず社内にも社外にも宣言しますし、うまくいかなければ軌道修正して進めばいいと考えています」
入社したのは、東京・赤坂で店舗を広げていた飲食ベンチャーです。
配属された店では、店名もメニューも自分で決められましたが、責任も自分で持つという条件つきでした。最初に任されたのは、店長が外に出て客を引く居酒屋です。
ちょうど、食べログで調べてから店を選ぶ人が増えていく時期で、その流れを読んだ加納さんは業態を変えます。飲み放題の居酒屋から、マグロの専門店へ。これが当たって、社内のブランドとして数店舗に増えました。
入社のときに3年で独立すると宣言していて、実際は計画より少し早く、次の道へ進みました。
そのあと販売促進の会社を立ち上げ、人材派遣会社の経営に加わってから、2022年にスクーデリアを作りました。地元郡山のために何かをしたいと思っていたので、創業の地を郡山に選びました。
ーどんな郡山にしていきたいですか。
加納「若い人たちが戻ってきて、活気のある故郷になってほしいという思いはあります。

若者が帰ってくるには、魅力のある企業が必要です。一回出てもいいと思うんです。スクーデリアに入りたいから戻ってきたい、Uターンして就職したい。そういう企業にしたいですね」
ポジティブで素直な人が集まる会社

社員のほとんどは、知り合いの紹介か、派遣スタッフからの登用で入りました。新卒の採用は、これからつくっていく段階です。
人を受け入れる企業と、そこで働くスタッフの両方を、一人の社員が担当します。分けるのは規模がもっと大きくなってから、というのが加納さんの考えです。
社員には外国籍の人が多く、2025年2月には、郡山市の男女共同参画推進事業者表彰を受けました。評価されたのは、フレックスタイム制と休暇の制度、外国人社員の積極的な雇用などの、多様性への配慮です。

ーどんな若者が来たら嬉しいですか。
加納「採用で強く見ているのは、ポジティブで素直かどうかです。いまのメンバーもそこで選んできました。頼もしい人たちが集まってくれて、それが会社の推進力になっています。
そのうえで、刺激という意味では、破天荒な人が一人二人いたら面白いなとも思うので。学生さんには逆に、そこを持ってきてもらえると」
目標は、上場

会社の目標は、8期を迎えるタイミングでの上場です。2030年前後で、いまの大学生が卒業して数年後の時期です。
ー上場にこだわりがあるんですか。
加納「あります。社長として会社を上場させるのは、個人として大きな目標で、とても強い憧れがあります。会社が大きく成長することで、従業員やその家族、派遣スタッフ、取引先など、私たちに関わる多くの人たちに、これまで以上の価値を返していけると思っています。みんなが今よりもっと豊かに、幸せになれる会社をつくる。そのための大きな手段の一つが、上場だと考えています。」

スクーデリアの次の挑戦は、まだ決まっていません。これから出会う誰かのアイデアが、その始まりになるのかもしれません。
人と企業が出会う場所をつくる、次の新規事業に、_ _ _ _を。
(2026年8月 取材 松井司)

