Interview
郡山から世界へ、世界から郡山へ。毎月ひらく英語の夕食会を、次の回から任せます
A&TKインターナショナル株式会社
毎月ひらかれる、イングリッシュディナーに。
郡山市朝日、市役所のすぐ裏にあるBASEという建物の3階に、サフラン郡山という店があります。南アジア料理のレストランで、夜はアジアンバルになります。
運営しているのは、株式会社A&TK Internationalです。代表の渡部葵さんは、清水台でタイ料理のバンコク屋も開けました。マレーシア留学を案内する教育事業も持っています。

サフラン郡山で毎月ひらいているのが、イングリッシュディナーです。日本人と、郡山に住む外国人が同じテーブルにつき、食事をしながら英語で話す会です。
毎回たくさんの人が集まり、中学生以上なら誰でも参加できます。
半年ほど通ってから実際に留学した学生が何人もいます。この会で知り合って付き合いはじめた人たちもいます。
ー若者には、どんな人に来てほしいですか。
渡部「自分の目標なり信念なり、何でもいいので、何か目標がある方がいいなというのはあります。うちもベンチャーなので、これやりに来ました、というくらいの人がいいなと」
つまり、用意された仕事に入る形にはならず、持ち込むところから始まります。
渡部「海外と地方みたいなことで、郡山でこんな事業をやりたいんだけどやらせてください、と来てくれると嬉しいです。じゃあそのお金どうするの、というのは一緒に考えていきましょう。」
ハラルの南アジア料理店、サフラン郡山

会社ができたのは2024年で、サフラン郡山が開いたのは2025年4月です。
食事はすべてハラルです。肉はハラル認証を受けたものを使い、豚肉やラード、アルコールは調理に使いません。お酒はドリンクとして別に出します。

店内では英語やヒンディー語、ウルドゥー語が飛び交います。客には、県内各地から通ってくる在留外国人もいました。
店の外にも客がいて、Instagramにもたくさんのフォロワーがいます。投稿のトーンも動画も、渡部さんが自分で作っています。
店が持っているのは、料理と場所だけではありません。郡山市大町のおおまちてらすを見学したとき、渡部さんは福島県立乳児院という施設を初めて知りました。
0歳から就学前までの子どもが暮らす場所で、渡部さんの子どもと年齢が重なります。
渡部さんは期間を1週間と決めて、チャリティープレートを頼むと寄付になる形にしました。週末の一日には品物の受付も設け、集まった品物は車に乗り切らないほどでした。
渡部「うちならこれ余ってるから持ってくる、という方もいれば、わざわざ買ってきてくださる方もいて。お店とお客さんのつながりを、すごく感じたイベントでした」
あなたが持ち込む企画にも、この人たちが最初の客として付きます。
高校2年で決めた、経営者になる道

郡山で育った渡部さんは、高校2年生のときに東日本大震災に遭っています。
震災のあとの暮らしのなかで、渡部さんは子どもながらに気づいたことがあります。
渡部「仕事があって、街が動くんだというのが子どもながらに分かって。日常に戻ることが一番の復興なんだな、と実感しました」
日常に戻るには仕事がいる。仕事が生まれるには事業がいる。だから経営者になろうと、高校2年生で考えました。
進学先は、分厚い大学の事典を1ページずつ読んで選びました。立命館大学の政策科学部で、公的な支えと、事業者にできることの両方から社会の課題を考える学部です。
ーそこまで調べる高校生は多くありません。もともとそういう素養があったんですか。
渡部「親にはずっと、日本の外に出なさいと言われていて。最初はどういう意味なんだろうと思っていたんですけど、本当に出てってやると言って、出ちゃいました」
総合商社も受けたうえで、新卒で選んだのはマレーシアでした。
渡部「日本の名前を背負って海外に行けるのは魅力的でした。でも、日本の企業や個人が海外に行きたいとなったときに、それを支えられる存在になるほうが、手っ取り早いなと」
マレーシアには10年ほど住み、現地で起業し、国際結婚をして、子どもを産んで育てました。夫も長くその国で暮らしてきました。

孫の顔を見せに郡山へ戻ったのが、そのまま今につながっています。
外国人も子ども連れも入れる店
戻ってきたとき、子どもはまだ小さく、渡部さんは家族で気軽に集まれる場所を探していました。それなら人が集まる場所を作ろう、という話になりました。そうして開いたのがサフラン郡山です。
だから、外国人でも、宗教が違っても、子ども連れでも入れる店にしています。お子さまセットを置き、キッズスペースも作りました。
ーなぜ、郡山でやるんですか。
渡部「郡山から世界へ、世界から郡山へ、というのを掲げています。世界にいろんな選択肢を持てるような事業をやっていきたいというのがあります」
自分の子どもの進路についても、どの学校にするかという話はしていません。夫婦で話しているのは、どの国にするかです。

渡部「英語が話せたからあった選択肢だと思いますし、海外が当たり前になったのが大きいです。日本が好きだな、というのも一つの選択肢ですが、その選択肢を持っているかいないかで違うと思います。」
いまの仕事についても、渡部さんは楽しさを口にします。
渡部「ないものを作っている楽しさはあります。イングリッシュディナーも、ふたを開けたらキャンセル待ちで、郡山にこんなところないです、とおっしゃる方が多くて」
英語は渡部さんたちにとって日常の言葉で、それを郡山で出すと新しい価値になります。
店舗とスタッフと集客の仕組み
学生に渡せるものを、渡部さんは4つ挙げました。使える店舗があること。スタッフがいること。海外風のフレキシブルさがあること。そして、集客の仕組みがあることです。
渡部さんがいま力を入れているのは、人に仕事を任せることです。お店を作るときは、内装もキッチンも、イベントもメニューの構成も、全部自分でやりました。2026年9月には、マレーシア法人で日本人スタッフを雇いました。毎朝ミーティングをしながら、経営者として日々学んでいるところです。
渡部「自分も勉強しながら、会社として成長していくタイミングだなと思っています」
サフラン郡山もバンコク屋も、月曜以外は昼と夜に開いています。営業の合間に学生とやり取りするのは、渡部さん本人です。

ーやりたいことを持ち込んだら、そこからどうなりますか。
渡部「例えば、旅費どうするの、となったら、本人に考えてもらって。航空券代をどうやって捻出するのか。イングリッシュディナーの集め方を変えるのかどうか。そこを逆算していくステップを、うちと一緒に考えていきましょう。」
渡部「会社としてできること、できないことの線引きはしないといけないですが、その中でベンチャーならではのフレキシブルさとスピード感から得られることはあると考えています。」
思い出してもらえる場所へ
3年後、5年後の目標を聞くと、子どもの話から始まりました。上の子が小学校に上がるのが、ちょうどそのころです。
渡部「そのタイミングで、自分たちがこの場にいなくても、会社が回る状態にするというのが、自分の今の目標です。会社の成長=自分自身の成長ともいえます。」
そのために人の配置を考えていて、自分は店に立たない前提で準備を進めています。
もう一つ挙げたのは、思い出してもらえる場所になることでした。
渡部「土日何しようというときに、じゃあサフラン行くとか。夏休みどうするというときに、じゃあ留学を相談してみるとか。皆さんの、日常にある存在でありたいと願っています。」

ーこれから郡山に来る若者に、一言お願いします。
渡部「これまでも、これからも、たくさんの決断と選択があると思います。郡山に行ってみようとか、この大学に行ってみようとか。時に不安になることもあると思いますが、自分の選択を正解にしていくことが大切です。どんな選択でも、その時にできるベストの選択だったと信じて、どんな道でも頑張ってほしいです。」
イングリッシュディナーは、来月もひらかれます。
毎月ひらかれる、イングリッシュディナーに、_ _ _ _を。
会社概要
会社名
A&TKインターナショナル株式会社
所在地
福島県郡山市緑町
事業内容
マレーシア親子留学のサポートと、南アジア料理の店
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